時代的には古くなってしまったが、
日本の農業のゆくえを、とくに土の豊かさから問う。
この手の本はなかなか読めないものも多い印象だったが、
この本は一種の民族誌というのか、
人間の生き方の問題から農業を捉えていて
おもしろく(といっていいのかな)通読できた。
いや、大事な問題すね。
ほんとうは観念的と物質的という二分法なんて
ないんじゃないかと、宮本を読むとおもってしまう。
晩年の講演を集めた文庫、
リラックスした語り口で縦横無尽に日本人の生活の歴史に光を当てる。
騎馬民族や膳の個人主義(高取正男?)あたりはご愛敬かな。
山地での生活について。
「ここでもう一つ考えてみなければならない大事な問題がありますのは、それではヒエを食べ、アワを食べ、ダイコンを食べ、あるいはサトイモを食べるという生活は、平地で米を食べる生活に比べるならば、やはりあまりよいものではない。米がいちばんみんなにとって魅力のある食物であるはずです。
それではなぜ山間に多くの人が住んで、そしてそういう米以外のものを食物にして生活をしたのかというと、人間は食うためだけに働いているのではなくて、働くために食うものだということです」(p.132)
そうして、木工や採鉱、造船、狩猟といった仕事を挙げていく。
「人間はパンのみにて」の原理の見事な表現。
こういってはなんだが、全体に緩ーい議論。
間・間のコラムがまた緩さを助長しているような。
でも、これまでほとんど扱われてこなかったジャンル。
こうした声が上がり、情報が提供されることに、一定の価値。